【シンポジウム報告】小児医療におけるアートを活用した心のヘルスケア<後編>
前回のコラムでは、チャイルド・ライフ・スペシャリストや、ボランティア・コーディネーターについての講話をお届けました。後編ではアーティストも交えたフリーディスカッションの様子をご紹介します。
>>プロジェクトの概要を含む、前編の記事はこちらから
フリーディスカッション<天野香菜絵×冨澤真麻×新井英夫×板坂記代子>
■新井英夫さんの自己紹介
私は、体奏家・ダンスアーティストを自称し、舞台系のことは、ダンスを中心に活動してきました。現在57歳です。「芸術家と子どもたち」との出会いは、 2010年ぐらいからかな。僕は、舞台活動と両輪のように子どもたちから高齢の方まで、障害のあるなしに関わらずいろいろな方といろんな場所でワークショップをやってきました。でも、病院で本格的に継続的なワークショップを始めたのは、『ちゃっちゃ☆チャンネル』が初めてです。
ここで少し、私の個人的なことを皆さんにお伝えしておきたいと思います。実は今、車椅子に乗っているんですけども、2022年夏にALS(筋萎縮性側索硬化症)という病気になっていることがはっきりしました。根治的な治療法がなくて、全身の筋肉がだんだん動かなくなっちゃうという難病です。発病から3年〜5年ぐらいで、そのままだと呼吸をする筋肉も弱くなって命に関わるというふうに言われています。ここはかなり個人差があるところなんですけど、今、要介護5で身体障害者手帳2級で、私も病気と向き合っているという立場で、この『ちゃっちゃ☆チャンネル』のスタート時から関わっています。
『ちゃっちゃ☆チャンネル』に至る不思議なご縁について少しお話をさせてください。実はずいぶん前になりますが、1998年に、友人の娘さんが埼玉県立小児医療センターに入院されていました。やはり難病のお子さんでした。僕はこの娘さんとたまたま血液型が合ったので、輸血の協力をさせていただくなどしていたのですが、残念ながら難しい病気で小学校に上がる前に天国に旅立たれました。その後、僕の友人はこの娘さんの死をきっかけに、臨床心理士になったり、グリーフケアの活動をされたりしました。天野さんがお話しされたように、病院って病気を治すことだけじゃなくて、残されたご家族のケアや、ご本人が病気に向かうための元気づけ、エンパワーメントみたいなこともされてるんだなってことを、この時に知りました。
2022年の1月ぐらいから私の身体の調子が顕著に悪くなって、ALSかもしれないなということで、大学病院に通院したり検査入院しに行ったりしていました。その大学病院の中に特別支援学校がありまして、子どもたちが図工の作品とか作文を院内に展示していました。その中に、なんと『ドラえもん』の「どこでもドア」のような虫眼鏡の作品がありました。病院の中にいると行きたいところに行けないけれど、その虫眼鏡を見ると、自分が見たい風景が見えるという作品でした。僕もその後、2週間くらい検査入院をして全然外に出られなくて、「そうか、今まで自由にいろんな所へ行けてありがたかったな。残念ながら病院って閉じられた場所なんだな」ということをすごく実感しました。僕は大人の病棟でしたが、入院患者同士で、今まで元気でいたけれど、入院して病気になるとこんな気持ちだよねとか、自分の命ってこれからどうなるんだろうね、なんて話をして、しみじみ入院患者同士の心の交流がありました。大人といえども、自分の命がどうなっていくか、病気と向き合うことは初体験であり、それをみんながとても支え合っていたということを思い出しました。
そして、自分がこういう体験をしてるときに同じタイミングで『ちゃっちゃ☆チャンネル』の企画が立ち上がった。自分が思ったこの寂しさとか心細さとか、「これができたらいいな」「あれができたらいいな」っていうことを『ちゃっちゃ☆チャンネル』に全部入れちゃえと思ったんです。『ちゃっちゃ☆チャンネル』がスタートして自分もALSに罹患していることがわかり、今は身体がほとんど自由に動かなくなってきていますが、『ちゃっちゃ☆チャンネル』があるおかげで、行けない場所にも行っているような、実際に病院には行かないけれども子どもたちと一緒に身体を動かして何かやったような、そんな気持ちになれて、実は僕自身がとても勇気づけられているというのが事実です。
自分が難病当事者、重度身体障害者になって気づいたことなんですけど、アート・ワークショップと医療・福祉とはジャンルが違っても、根っこにある願いや思いは同じなんじゃないかと。生老病死、人間は生まれて老いて、病で亡くなる。これは避けられないことです。病気だけじゃなくて、障害や生きづらさも含めて、これらを「多様な方法で」ケアしたり、その人らしく生きられるようにサポートする人たちが不可欠です。残念ながら、僕も治す方法のない病気です。これと向き合うことは、正直言うととてもしんどい。でもそのときに「いま生きてる」ということを、カラダとこころ両面からサポートしてくれる人たちがいてくれるとやっぱり明日も生きていこうかなって元気になるんですよ。
存在とか命をそれぞれ自由に表現して、それをお互いに認め合えるような場づくり。これってやっぱりアート・ワークショップをやっている専門家、天野さんも含めて、お医者さんとか看護師さんとか、それをサポートする冨澤さんとか、専門性は違うんですけど、思いは本当に同じだと思います。今日のお話のように、交流して連携して協働しつつ、ケアとアートが境目なく融合したような新しい活動につながっていったら、ということを強く願っているところです。
■ちゃっちゃに込めた思い
新井英夫さん/体奏家・ダンスアーティスト(以下、新井):ここで、板坂さんに『ちゃっちゃ』に込めたキャラクター・デザインの思いを聞いてみたいと思います。
板坂記代子さん/ダンサー・美術家(以下、板坂):『ちゃっちゃ』は耳が結構大きいのですが、これは犬ということではなくて、とにかくいろんな人のお話を聞きたい、実際に出かけて聞きに行きたいなっていう願いを込めています。私が影響を受けた1980年代の子ども番組というのは、キャラクターがいろんな場所に行ってコミュニケーションを図ってくるというアナログな番組が多く、そうしたことを参考にして、直接でも、お便りカードなどの媒体を通してでも、「話を聞く」ということを大事にしようと思いました。
新井:僕がもう一つ意識したのは、「つながりを新たにつくる」ことでした。僕は昭和41年生まれなんですけれども、昭和のラジオの深夜番組って聴いていませんでしたか? ちょっと親にも言えないことや、学校でも出せない自分みたいなことをペンネームで葉書に書いて出すと、パーソナリティの人が読んでくれて、それに対してまた次の週に、違う人が反応してくれたりとかして、いまはSNSもあるけれども、それよりももう少し肌触りというか人肌のぬくもりがあるような、フラットにつながれるもう一つのコミュニケーションの場だったと思うんです。『ちゃっちゃ☆チャンネル』が、そういう昔のラジオの深夜番組に葉書を出して、横のつながりがゆるやかにできて「自分は1人じゃないんだ」とか、「明日もちょっと元気でやってみようかな」とか、「こんな思いを持ってるのは私だけじゃないんだな」とか…、そういうコンテンツになったらいいなっていうのを打合せで話したと思うんです。まさにいま、YouTubeの配信だけでなく、オンラインのワークショップも実現できて、おかげさまで想像に近い展開になっていると思います。
■こんな「ちゃっちゃ」があったらいいな
冨澤真麻さん/埼玉県立小児医療センター ボランティア・コーディネーター(以下、冨澤):さきほどの話にもありましたが、何か話したいなということがちょっとあって、だけど見渡しても誰もいないという病棟の中で、そういうときにすぐに話せる場や、認められるよという場があるといいなって思います。最近「承認欲求」ってSNSとかだとあんまりよくない言葉になっているけれど、承認欲求って絶対あって然るべきもので、承認欲求で人が支えられていると思っているので、ちゃっちゃや新井さん、板坂さんが認めてくれる、認めてもらえるワークショップっていう場はすごくいいなと、もっともっと参加してもらえたらいいなと思います。
新井:いま思いつきですけど、『ちゃっちゃ電話』っていうのをやりますか。病棟に黄色いちゃっちゃ色の電話を置いといて、電話が突然かかってくるんです。そして子どもたちは自由に電話に出ていい。好きなことを喋っていい。あらぴーといたちゃん、ちゃっちゃが「うん、うん」とうなづいておしゃべりしてくれる。でも3分ぐらいで切れちゃうんだけども(笑)、こんな突然かかってくる謎の『ちゃっちゃ電話』ってどうでしょうか。電話ボ ックスみたいなものもつくってその中で安心して喋れる。できれば昔のダイヤル式の電話にして欲しいです(笑)。
◾️CLSにつながるためには?
中西/芸術家と子どもたち:先ほど天野さんが事例をご紹介された時に「CLSに依頼があった」とおっしゃっていたのですが、天野さんみたいなCLSの方にちょっと話を聞いてもらいたい時は、お医者さんから患者さんの状態を見て、依頼されるのでしょうか。どうしたら子どもたちは、天野さんに会えるのでしょうか。
天野香菜絵さん/埼玉県立小児医療センター チャイルド・ライフ・スペシャリスト(CLS)(以下、天野):CLSへの依頼であれば、先生や看護師さんからご紹介いただくか、もしくは私が地域連携相談支援センターという院内のセンターに所属していて、それが総合受付にあってカウンターもあるので、そこに直接ご家族に来ていただくこともできます。
中西:重い病気のこととかではなくて「ちょっと話を聞いて欲しいな」みたいなときとかに、行っても良いのでしょうか。
天野:そうですね。例えば「わかってたけれども、今日入院が決まりましてそこから隣の息子がずっと口をきいてくれません」と言って、そして親御さんは俯きがちで、隣の息子さんはずっと下向いてスイッチしてるような、そんなご家族が来られたりもします。
新井:天野さんがね、本当に全ての小児医療にいたら、そういう世の中だったら素晴らしいですよね。49人しかいないってのが…。
■ちゃっちゃを通して見えてきたこと
板坂:前に話してたことがあるんですが、『ちゃっちゃ☆チャンネル』の裏番組として『ちゃっちゃ☆ラジオ』という、大人向けの夜のラジオみたいな感じで、ご家族とか周りでサポートしている人たちも、ラジオだから映像はなしで気軽に愚痴でもいいし何か言い合えるちょっとした場所があったらいいね、なんて言ってたんです。『ちゃっちゃ☆チャンネル』を始めて、ご家族などのサポートしている方のサポートもすごく大事なんだろうなと思いました。
中西:「芸術家と子どもたち」は普段学校とかに行くので、あんまり子どもたちのご家族に会わないんです。でも、病院に入るようになると、子どもたちが子ども1人だけでは行動できないケースがあって、親御さんの付添がないと、いろんなことができないということも見えてきました。親御さんだって仕事もしなきゃいけないだろうし、例えば兄弟姉妹がいたらその子たちの学校のこととか、生活のこともあるだろうし、そういう状況にある親御さんがいてとても大変だろうなということが見えてきました。すぐにその人たちに何かできるわけではないかもしれないけれど、半ば強制的に一緒にワークショップに参加してもらって、「お父さんちょっと折り紙折ってよ」みたいなやり取りをして一緒に折ってもらうなど、子どもたちが一番大変なんだけれども、その周りにもいろんな思いがあるんだなということを実感しています。子どもの周りにいる人たちに何ができるか、まだちょっとよくわからなくてもどかしいなとは思うんですけど、子どもの周りにいる人たち、それは親御さんだけじゃなくて皆さんもですけど、そこへの支援がすごく少ないのかなと感じます。
天野:親御さんたちは、ベースにはやはりぺったりとした不安があるわけです。どう頑張ったってここは病院だから。でも、子どもと2人っきりで病室にいたら、それぞれお互いにスマホを見ていて、子どもはゲームをしていて、一緒にいて欲しいからいるし、お互いに一緒にいたいからいるんだけれども、もう四六時中喋ってるわけでもないというときに、こういうアート・ワークショップや、歌を歌うセッションなどがあると「なんだ、この子元気じゃんって思える、その瞬間がやっぱり私にとって救いでした」っていうお話を伺います。もちろん、親だけのちょっとした愚痴とか、私だってこの前6歳の子どもに「天野さんって4歳みたいだね」って言われて「あれ、私っていくつだったかな?と思ったんですよ」とか、そういう話を聞いてもらえるんだったらいくらでも話したいことはあります。
新井:「アート」って言っちゃうと、そして日本語で「芸術」って訳しちゃうと、またちょっと堅苦しくなっちゃっうので、僕はオンライン・ワークショップのときに特に意識してたのが、「遊びの時間」をつくろうと思ったんです。「親子で交流しましょう」とかっていうのも堅苦しいから、自然と手と手がふれ合っちゃう手遊びみたいなことや、工作だとしても自然に会話や共同作業が生まれそうなことを。
板坂:私たちも初めから「予定した通りの工作をしましょう」っていうんじゃなくって、たまたま画面の向こうの子どもさんが持っていたスライムから、「こっちはこんなのだってあるぞ」と色のついた粘土を出して、「即興工作対決」みたいになったこともありました。ワークショップの始めに折り紙で折った動物を見せてくれた子どもさんがいた時は、そこから、我々もじゃあ折り紙で遊ぼうかみたいな展開゙になったりしましたね。
新井:折り紙で言えば、子どもさんがベッドの上で折っていた折り紙に、僕たちが餌をあげるってワークショップをやったんだよね。冷蔵庫からニンジンとか出してきて「食べるかな?」と聞いたら「食べないよ!」って言われちゃいました(笑)。そういうやり取りのある遊びができるとおもしろいですよね。
中西:その子が、ワークショップの最初はカーテンの後ろに隠れていたのが、ちょっとずつ出てきてくれて、2回目3回目はもう「あれやりたい、これやりたい」と自分から提案してくれるようになりました。
冨澤:私がワークショップに誘いに行ったときにも、「ちゃっちゃ、やるやる!」と言ってくれるようになりました。
新井:冨澤さんから、ワークショップをする時に、事前にこんな子なんですっていう話を可能な範囲で伝えてくださったことも大きな助けやヒントになっていました。親子で参加するときに、例えばお父さんの方がいま少し大変そうとか、娘さんの方がちょっと思春期に入っていて照れちゃうだろうとか、そういう話を聞けたので、とてもやりやすかったです。
冨澤:それは天野さんにも協力してもらったり、私もちょっと聞きに行ったりはしていました。
中西:ちなみに、常日頃CLSの方は何人の子どもたちのことを見ていらっしゃるのでしょうか。
天野:この病院はCLSがもう一人いるので、平均すると、だいたい15〜17人ですね。
中西:オンライン・ワークショップをするときに、病院はまだまだコロナの感染症対策などセンシティブなところなので、私たちスタッフは別に病棟に入らなくてもよくて、冨澤さんが病棟にパソコンを持って行ってくれれば十分できるんです。でも新井さんもオンラインだし、事業を続けていく側としては何となく体感したいという思いがあって、邪魔じゃなければ(病棟に)行かせてくださいと言ってスタッフは病棟で参加していました。そうすると、複数人のお部屋で感染の疑いがあると、カーテンで仕切られてしまってワークショップに参加できなくなることとかがあって、一人ひとりの子どもたちが抱えている現状がずしんと響くものがありました。でも、病院に新井さんが来てワークショップをし始めたら盛り上がりすぎて迷惑だったかも、ということも実感してわかりました。今だったら対面でできることも増えていますが、良くも悪くも、新井さんご自身の状況もあって、このタイミングで、オンラインという方法でも、こんなにやり取りできるんだなっていうのは発見でした。
板坂:(新井が)入院したっていう体験と、私は家族として離れて家にいたという体験の中で、やっぱりビデオ通話で映像としてつながっているとものすごい安心感がありました。彼からレシピを伝えてもらいながら、画面越しに一緒に料理したりとか(笑)。ベッド上にいる人間とそこにいない私ですが、なんていうんでしょうね、同じ時間を共有していることは、とても大事な体験でした。そのことをベースに思い出すと、子どもたちにとっても、ベッド上であっても、表現できる、やり取りできる、コミュニケーションできるということは、すごく大きなことなんじゃないかなっていうふうに思われたんです。
新井:これはちょっと実現できるかどうかわからないですけども、『ちゃっちゃ☆チャンネル』のコンテンツを、病院にいない人も試聴したり参加したりできたらいいな、と思うんです。こういう医療従事者の方たちがいて、こういう活動をしていて、こういう子どもたちが生きているんだ、ということを病院の外にも温かみを持って可視化できるのではないかと思います。プライバシーなどのデリケ ートな問題もあるんですけれども…。なぜかというと、病気や障害と共に生きる人の存在を「知らない」よりも、ちょっとは知っていたり、その人たちのことを同じ社会の仲間として想うことがあったら、きっと世の中の空気感がちょっと良い方向に変わるんじゃないかと思うんです。残念なことだけれど人間はすごく極端な方向に行きがちで、例えば「高齢者は社会保障費を圧迫する存在だから社会のお荷物だよね」と言う人も政治家を含めていまゼロではないですよね。その「高齢者」という主語が「病気の人」とか「障害のある人」とかにいつの間にか拡大するかもしれない。どんな人も本当はかけがえのない唯一無二の存在で、自分たちと同じ社会を同時代に生きてる仲間なんだってことが伝わるような一つの方法として『ちゃっちゃ☆チャンネル』が育つといいなと。いろんな人がここで楽しく出会うきっかけになれば、と。そんなこともちょっと夢見ています。
■これからに向けて
中西:ぜひいま新井さんがおっしゃってくださったことも実現したいと思いますが、最後にみなさんから一言ずつお願いします。
天野:今日は素敵なタイミングをいただいて本当に楽しくお話できました。CLSのお仕事って、アートと重なる部分と重ならない部分があったかなとは思いますが、参加できて良かったです。今後ともどうぞよろしくお願いします。
冨澤:はからずも50歳にしてYouTuberという、大変ありがたい肩書きをいただきました『ちゃっちゃ☆チャンネル』には本当にお世話になっております。また、引き続き皆さんと来年度もやっていきたいと思うのでよろしくお願いいたします。
板坂:『ちゃっちゃ☆チャンネル』が大好きで、冨澤さんのその背景の飾りでわかるように、番組にみんなの愛がつまってましたね。楽しかったな。『ちゃっちゃ☆チャンネル』、まだまだ続くよ!と宣言したいです(笑)。
新井:僕は病気の進行があるので、同じやり方でやれるか工夫させてもらうこともあると思うんですけど、何より僕が元気づけられているということがあります。仕事でやってるんだけど、私も病と向き合う一人として、非常にエンパワーメントされているので、病院に入ってる子どもさんとかご家族と、お互いに何か友だちみたいな連帯感を感じてやっています。今後もみなさん、よろしくお願いします。
中西:『ちゃっちゃ☆チャンネル』は病院にいる子どもたちに届けたいという思いで始めて、新井さんのお話にもあったように、病院の外の世界を、子どもたちやその周りの人に感じてもらいたいと考えていました。でも逆に、病院の外の人が中のことを知る機会にもなっていたんだなと思います。毎回ここに収録に来る度に、病院には本当にいろんな仕事があることに気づきます。しかも出会う人たちがみんな理解があって、この病院全体で子どもたちのことを思いながら、その周りの大人たちのことを思いながら、活動されていることを体感しますし、その中に入れてもらうと来る度に私も元気になっています。私自身にも「病院ってこんなところだったのか」という気づきがありますし、これからもいろんな形で『ちゃっちゃ☆チャンネル』をさまざまな場所へ届けていきたいと思います。
私たちスタッフにとって、小児病院でのワークショップは初めてで、しかもコロナ禍で始まった企画だったので、手探りで進めた3年間でした。しかし、天野さんや冨澤さんをはじめ、埼玉県立小児医療センターのみなさんがとても協力的で、あたたかく私たちを迎えてくれたことに本当に励まされました。また、新井さんや板坂さん、橋向さんたちアーティストが、いろんなアイデアを提案してくださってたおかげで、病院の子どもたちと関わり、出会うことができたこと、改めてとても大切な時間だったなと思います。今回のオンライン・シンポジウムで学んだことを、これからの『ちゃっちゃ☆チャンネル』に活かして、これからも多様な活動を展開していきたいと思います。最後になりましたが、関わってくださった皆様に、この場をお借りして改めて心よりお礼申し上げます。
編集・記録写真:NPO法人芸術家と子どもたち
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