2024年度「コープみらい×中央共同募金会『子ども・子育て支援助成~生活に困難がある子どもやその家族への支援活動を応援!〜』の助成を受けて実施した、2つめの児童自立支援施設でのワークショップをレポートします。(1施設目のレポートはこちら)
25名程度の中高生たちを対象に、パーカッショニストの関根真理さんとURIさん、ギタリストの小沢あきさんと、3日間のワークショップを実施しました。
施設の中で普段から音楽の授業はあるけれど、合唱が中心で楽器にふれる機会が少ないこと、子どもたちは音楽が好きな子もいて、ギターやピアノに興味がある子がいること、加えて施設の中で行われる演芸会で音楽的な出し物をする子たちもいるということで、たくさんの楽器にふれて、音楽を楽しむ時間をつくっていくことにしました。
1日目は、アーティストが用意した打楽器のほか、施設のドラムなども借りて、まずは子どもたちに楽器の楽しさを体験してもらう回となりました。2日目は、打楽器の中でもジャンベ、ジュンジュン、カウベルなどのパートに分かれて「クク(KUKU)」という西アフリカのリズムを元にしたパーカッションアンサンブルに挑戦。後半は各々が取り組みたい楽器(ギター、ドラム、小物パーカッション)に分かれてリズム演奏や、イメージに合わせた即興演奏などに取り組みました。
3日目は、全員で演奏する「クク」のリズムアンサンブルに、ギター、ドラム、小物パーカッションチームそれぞれの演奏コーナーを加えて、ある島の夜のお祭りのように構成して合奏しました。
合奏の冒頭は、打楽器チームが鳴らす不思議な音からスタート。ジャングルの奥から聞こえてきそうな、動物の鳴き声のような不思議な音が鳴り始め、次第にみんなのククのリズムが重なっていきました。ある子が見つけた楽器は、クイーカと言って筒の中にある棒を湿った布で擦ることで鳴き声のような音が出ました。ククのリズムの間には、アーティストの指揮に合わせてパートごとに演奏を止める、また加わるなど、パートが変化することでリズムの聞こえ方が変わることも楽しみました。
ギターチームのコーナー『ギターの森』では、GとEmのコードを使った演奏を披露してくれました。短い練習時間でしたが、職員の中にもギターが弾ける方がいて、一緒に練習した成果を、他の子どもたちも興味を持って聞いてくれていました。
そしてドラムチームは『ドラムの丘』と題して、アーティストと一緒に、2人ずつドラムの即興演奏を披露。練習の時に、リズムをきちんと演奏しようとすると技術的に難しい部分もあり意気消沈する姿も見られましたが、決まったリズムではなく、自分が演奏したいように鳴らしてみることも取り入れて、一人ひとりが違うリズムを聞かせてくれました。そして最後には、3つのドラムを全員で演奏して小物パーカッションチームへバトンタッチ。
再び登場した小物パーカッションチームが『音の魔術師』と題して、それぞれが選んだ好きな楽器を使いながら、カリンバという楽器でマクドナルドのポテトができあがる時のメロディーを奏でたり、ソロで歌を歌ってくれたり、寸劇も織り交ぜて場を盛り上げてくれました。
最後にはまた全員でククのリズムを奏でながらフィナーレ。いつの間にか50分間という超大作の合奏ができあがりました。3日間という短い時間でしたが、楽器やリズムとの出会いを通して、相手の音を聞きながらリズムを合わせたり、他チームの演奏に耳を傾けたりしながら、全員の音楽が重なり合う心地よさを感じる時間になりました。
実施後の子どもたちや職員の方のアンケートの一部をご紹介します。
●子どもたちより
・やっぱりドラムは想像以上に難しかったけれど、それを乗り越えられたからこそ、さらに楽しかったと思います。
・まとめると、すごく楽しかった。みんなの音が合わさっていくのがゾワゾワした。
・寮生や先生方と一緒に音でコミュニケーションを取ったり、リズムに乗って演奏などを行ったことが楽しかったです。
・印象的なことは、どの回もとても賑やかだったことです。1~3回目の中でも、やっぱり最後は全体が一丸となって演奏や出し物をした3回目が一番思い出に残っています!
・ミスしても失敗してもいいということを、先生方から学べて、自由にやる時、何かを表現する時は、正解はないんだということを知る機会になったと思います。
●職員の方々より
・楽器に触れる貴重な経験だけではなく、全体で一つの作品をつくり上げていく過程と、その出来映えが本当に素晴らしかったです。
・音楽や楽器への興味、関心が高まったと思います。音符や楽譜が読めなくても演奏する経験ができたことは、とても良いものとなったと思います。
・今後もいろいろな芸術にふれる機会をつくりたいと思います。言葉や行動だけではない、いろいろな自己表現方法を学んで欲しいと思っています。とても良い機会をいただきました。
・歌うことや人前で発表することが苦手な子どもが、前に出て元気よく参加していたのが印象的でした。
・全体的に子どもたちは飲み込みが早く、大人では覚えるのに困難そうにみえるリズムにも上手に合わせていたのが印象的だった。
文化芸術にもいろいろな分野があるので、各施設の要望や子どもたちが興味、関心があることに応じたワークショップをつくっていくことが大切だなと改めて思いました。また、音楽に限らず、これからも継続して施設に関わることで、表現にもいろいろな方法があることを体験してもらえると良いな、とも思っています。
最後になりましたが、様々な場にいる子どもたちに、表現活動の場を届けることに賛同してくださり、ご支援いただいた寄付者の皆様、そしてコープみらいと中央共同募金会の皆様に心より感謝申し上げます。