都内公立小学校・特別支援学級、1~6年生の子どもたち21人と取り組んだワークショップ。アーティストの北川結さん(ダンサー・振付家・イラストレーター)、アシスタントの内海正考さん(ダンサー・三味線弾き)と出会い、みんなで一緒になって踊ること、一人で踊ること、どちらものびのび楽しんだ2日間になりました。

事前の打合せでは、先生から「いろいろな身体の動かし方を経験して、子どもたちがとにかく楽しいと思えるような時間にしたい」また、「音楽がある中で身体を動かしたい」というリクエストがあり、耳なじみのあるJ-POPに加え、内海さんの弾く三味線の生演奏で踊ってみることを検討して、当日を迎えました。

出会いの瞬間はいつだってドキドキ。少し緊張している様子もありながら、北川さん・内海さんの「おはようございまーす!」という大きな声に、子どもたちも負けていません。今度はうってかわって、蚊が鳴くくらいの北川さんの「おはようございます」に、子どもたちにも自然と笑顔が。

最初は、アーティストの動き真似からスタート。みんなで大きな円をつくり、中心に居る北川さんをじっくりみてみると、一見動いていないようでゆっくりと手があがっています。ぽつぽつと気づく子が出てきて、最後はみんなで大きく手を天井に。次第にダイナミックな動きになっていき、途中で音楽がかかるとリズムに乗ってノリノリで真似する子どもたちの姿がありました。動きの見本となるリーダーもアーティストから先生、そして子どもたちにバトンタッチされ、スキップ・ジャンプの激しい動き、なめらかな動き、一人ひとりから発信される個性的な動きをみんなで楽しみました。

1日目の後半は、内海さんの弾く三味線の即興演奏にあわせて身体を動かしました。しっとりした曲調の中、ゆっくり歩いてみたり、立っているところからスローモーションで寝そべって目をつぶってみたり。中には、ものすごく時間をかけて身体を倒すことにハマる子もいましたが、みんなが自分のペースを貫き、全員が気もちよくやりきれるように“待つ”雰囲気が素敵でした。今度は陽気な曲調にあわせて自由に歩き回り、すれ違った友だちと手と手でタッチ、足と足でタッチ。だんだんと自分たちで動きを自由に発見していく子どもたち。すると、何かを食べる動きをしながら歩いている子が!それを見つけた北川さんが「みんなも好きなものを食べながら動いてみよう!」と声をかけると、そば?バナナ?お寿司?いろいろなものをイメージして楽しそうに食べ歩く姿が見られました。さらには、出会った人と食べ物を交換しあうというアイデアも生まれ、和やかに交流する子どもたち。落ちているものを拾って「おいしー!」というユニークな姿も。

最後に各々の考える「めちゃめちゃかっこいいポーズ」を決めて、ワークショップ終了。そして、感想を伝え合う時間へ。この2日間特徴的だったのが、こまめに感想タイムがあったこと。北川さんからの「今の動きはどうだった?」「三味線の音で動いてみたのはどうだった?」の問いかけに、それぞれが思ったことをたくさん共有してくれました。印象的だったのは、「ダンスほとんどおどってないじゃん!」という感想。確かに、テレビでみるダンスや、運動会で振りを覚えて踊るダンスとは少し違ったかもしれません。北川さんは嬉しそうに「ゆうちゃん(北川さんの呼称)には、一人ひとりの動きがすごいダンスだったよ」と伝えてくれました。

・・・

2日目は、子どもたちも最初からエンジン全開!ウォーミングアップの後は、2人組のワークに挑戦しました。言葉を使わずに、相手と呼応するように動き、最後は何かしらのポーズで止まります。相手と少し離れたところから始まり、「前に進み出て、相手と動いて、止まる」とルールはシンプルですが、相手より先に出るのか・後にでるのか、相手に協調するように動くか・まったく違った動きをしてみるか、どこでどのように止まるかなど、選択肢は無数にあります。みんなに温かく見守られながら1組ずつ挑戦。相手の出方を探るように目と目をあわせて丁寧に歩み出たり、相手のポーズとシンメトリになるようにポーズしてみたり、どう止まろうかじっくり考えて最後は相手が出した足にタッチするようにポーズしたり、一方がポーズした周りをぐるぐる軽やかに動き回り最後は相手の前でストンと正座で着地したり、毎回、二人の高い集中力と予想を超える素敵な動きに大きな拍手がおくられました。北川さん・内海さんからも、一人ひとりの素敵だったところについてコメントがおくられ、子どもたちも先生たちもみんな嬉しそう。

温かい空気で満ちた中、最後は一人ずつ三味線の音と踊ることに挑戦。みんなで大きな円になるように座り、その中心で心ゆくまで踊ります。「内海くんがあわせてくれるの?」という質問に、「内海くんもみんなにあわせるし、みんなも音をきいてあわせることもできるかも。さっき二人(組のワーク)で止まったみたいに、今度は内海くんと一緒に終わりを見つけてね」と北川さん。

何しよう?と戸惑う様子もなく、元気な曲調と一緒にくるくる回る姿、手を羽ばたかせるような動き、ジャンプするようなステップ、日本舞踊のようなしなやかな動き、だだただ佇むようなポーズと三味線の儚げな音・・・一人ひとりが三味線との素晴らしいセッションを見せてくれました。内海さんと目をあわせて最後のポーズを決める子も。三味線の音に子どもたちがあわせたとも、踊りに内海さんがあわせたとも言い切れない、ゆるやかな音と身体のコミュニケーションを見ているようでした。もちろん、毎回一人ひとりに自然と大きな拍手が。

一番最後の感想タイムでは、にっこり笑顔で躍動感たっぷりに手足を動かし、動きでこのワークショップの感想を表現してくれる子も。ポジティブなエネルギーが伝わってきました。

ワークショップ後、先生との振返りでは、「言葉で表現することが苦手な子もいるが、身体で自分を表せることを経験できた」「いつもだったら時間の制約などで大人が“終わり”としてしまうような場面でも、子どもたちの選択を“待つ”ことができたのがよかった」といった感想をいただきました。

アーティスト・子どもたち・先生方みんなが一緒になって、気もちよく身体を動かしたり、ちょっぴり挑戦したり、お互いの表現に驚いたり、拍手をおくったり、時には応援したり。ダンスを通して、自然と自分も相手も尊重できるような温かい雰囲気に包まれた素敵な2日間でした。


このワークショップは、「ブリヂストン BSmile募金」より助成いただき実施しました。

 

2024度、「コープみらい×中央共同募金会『子ども・子育て支援助成~生活に困難がある子どもやその家族への支援活動を応援!〜』」の助成を受けて実施した、児童自立支援施設でのワークショップをレポートします。

振付家・ダンサーの鈴木ユキオさんと、アシスタントとして安次嶺菜緒さん、山田暁さんの2名のダンサーと共に、2日間のワークショップを実施しました。子どもたちは、15人程度の3グループに分かれて、各グループ50分間のワークショップを2日間体験しました。

初日、まず初めは、アーティストが踊ってみせる自己紹介からワークショップがスタートしました。3人のダンスに真剣な眼差しを送る子どもたち。3人が子どもたちの列に入って近づくと、ちょっと逃げたり笑ったり、子どもたちの緊張感も自然とほぐれていきました。その後に、ストレッチやジャンプでウォーミングアップをしてワークに入っていきました。

最初のワークは、二人一組になって、相手の動きに付いていくワーク。リーダーが差し出した2本の指に目線を合わせて、指と目線をつなげたままリーダーの動きに付いていきます。丁寧でダイナミックなアシスタントの見本を見てルールが分かったら早速やってみました。リーダーは手を動かすだけでも、付いていく相手は全身を使わなければならず、転がったり身体をひねったり、いつの間にか自分一人ではやらない動きが生まれていました。

次に、少しルールを発展させて、指と目線ではなく、好きな身体の部位を組み合わせてやってみました。例えば肘に耳で付いていったり、拳に肩で付いていったり、身体の部位を変えてみることで、動きの面白さも広がっていきました。

1日目の最後は、ユキオさんとの『手と手のダンス』。二人組で行ったワークと同じ要領で、ユキオさんの手のひらと子どもたちの手のひらでつながって一対一で踊るダンスです。手のひらの間にあたたかさやエネルギーが感じられて、見ている方も幸せな気持ちになるダンスでした。

約1ヶ月後に訪れた2日目のワークショップ。子どもたちがユキオさんたちのことを覚えていて、施設に着いた時から「あの時の人だ」と出迎えてくれました。

2日目のワークショップでは、まずは1日目のワークを思い出してやってみました。1日目よりも動きが豊かになって、大胆な動きが見られたような気がします。

身体がほぐれたところで、新聞を使ったワークに新たに取り組みました。一人が新聞を丸めたり固めたり伸ばしたりしながらいろいろな形をつくり、その形を身体で表してみる、というものです。慣れてきたら、新聞紙を動かし続けて、ポーズや形ではなく、新聞紙の動きを連続した身体の動きで表現していきました。

新聞でどんな形をつくるか、完成形をイメージしながらつくる子もいれば、偶発的に生まれる新聞の一瞬一瞬の動きを身体で受け止めて、どんどん動きに変換していく子もいました。中には、新聞紙の気持ちになったのか、新聞紙が折られた時やグチャグチャにされる度に「イテッ」とか、逆に漂うように動かした時に「フワ〜ッ」という声を出しながら動く子たちもいました。正解はないので、それぞれが想う新聞を表現しているうちに、一人ひとりの身体から、いろいろな形や動きが生まれていきました。それと同時に、新聞という一つのイメージをみんなで共有している楽しさも感じられる時間でした。

グループごとの動きを見せ合った後は、最後にユキオさんのリードで、新聞紙の動きから、新聞をなくしてユキオさん自身を新聞だと思ってみんなで一緒に踊り、2日間のワークショップを終えました。

実施後の子どもたちや職員の方のアンケートには、次のような声が寄せられました。


●子どもたちより

・言葉ではなく、身体で自分の気持ちや考えを表すというのがとても楽しかったです。

・エネルギーがそれぞれあることが分かったので、すごく神秘的な気持ちになれました。

・3回目、できるか分かりませんが会えたら、一緒にまた踊りたいです。

・音楽はあるけれど、リズムに合わせるたりすることなく自由に踊れることが印象に残っています。

・音やリズムに合わせるだけではなく、目や手で、感じることで、全身で楽しむことができました。

・一人ひとり“自分らしさ”を身体で表現していて、他の人を見るのも面白いと思いました。

 

●職員の方々より

・ペアになって動く活動では、その子の性格が表れているのを感じ、興味深かった。

・集団生活が苦手な子が、生き生きと参加しているのが印象的でした。

・笑顔で活動をすることで、より身体が動くことが分かったような発言があった。

・帰寮後の会話から、子どもたちがいろいろと刺激を受け、感じた様子が見てとれました。


 

終わった後には、バレーや野球の練習があると言っていた子どもたち。日頃から運動の機会はたくさんあるようですが、スポーツとはまた少し違ったダンスの面白さや心地良さが伝わっていたら良いなと思います。

子どもたちが、芸術、文化活動にふれて様々な表現方法を身に着けることが、生きる力を育むことにつながるという想いに共感してくださり、今回の活動を支えてくださった寄付者の皆様、そしてコープみらいと中央共同募金会の皆様に心より感謝申し上げます。

墨田区立の小学校・特別支援学級、1~6年生の子どもたちと取り組んだ、水越朋さん(振付家・ダンサー)とのワークショップをご紹介します。

「さまざまな想いや想像力を持っていて、秘めたものがある子たちだが、それを表に出す手段をあまり知らないので、いろんな表現する方法を体感してほしい」
そんな想いでワークショップを申し込んでくださった先生。学芸会では『11ぴきのねこ』(作:馬場のぼる)に取り組むことが決まり、みんなの良さを生かした作品づくりに向けて模索しているところでした。

 

アシスタントの内海正考さん(ダンサー)と共に、普段意識したことのない自分の身体について目を向ける、発見とひらめきの2日間となりました。

1日目、少し緊張した表情で体育館にやってきた子どもたち。
まずは水越さんと内海さんの動きを真似してみることからスタートです。
タテとヨコに身体をぐーんと伸ばして、ぎゅっと縮んでみたり、あらゆる動きを見よう見まねでやってみます。

左右の腕を時計の針のように開き
「これは何時?」「3時!」、「じゃあこれは?」「8時!」
と水越さんの声掛けに、みんな元気に答えていきます。
身体を通したコミュニケーションの中で、頬が緩み、どんどん自由になっていく子どもたち。

「手には何がある?指でどんな形ができる?」という問いかけに、各々がじっくりと自分の手を眺めます。

全員の指を繋げて大きな輪をつくり、グネグネ動かしてイソギンチャクのようにしてみたり、ピースにして星形をつくったり、これもできそう!あれもできそう!と、子どもたちから出たアイデアをみんなでやってみました。

2日目は動物の真似から始まり、水の中の生物、太陽や氷といった物質をイメージして動きました。 「赤の踊り!」と、水越さんからの抽象的な注文にも自然と身体が反応し、青、緑、黄とさまざまな色になっていきます。

トンネルづくりでは、大人が作ったあらゆる形のトンネルを、子どもたちがくぐっていきました。 今度は子どもがトンネル役。先生たちが身体を縮こまらせながらクネクネと芋虫のように通る姿は愉快で、子どもたちからも笑みがこぼれます。

ホワイトボードの前に集合すると、2枚の絵が貼ってありました。
実はこれ、『11ぴきのねこ』に出てくる風景画。

「これからどちらかの絵を選んで踊ってみるね」 絵を見て感じたことを内海さんと水越さんが踊りで見せてくれました。

「どうだった?」
「平和に見えた」「意味わからない」「無人島っぽい」「ヒョウがいる」「次の踊りがみたい」
次々と子どもたちから感想が出てきました。
「意味わからなくてもいいんだよ」「見たいって思うことは大切なこと」と、子どもたちの気持ちに丁寧に向き合う水越さん。

「今度はみんなでやってみよう!」
さっきとは違う2枚の絵を見せ、自分が踊ってみたい絵のグループに分かれました。
まずは観察。絵を回して見方を変えると、見えてくるものが変わってくる不思議さ。

想像力が膨らんだところで、グループで踊りを見せ合いました。
堂々と1人で踊る子やペアになって踊る子、急に人に見られると緊張してしまう子もいましたが、ちいさな動きの中にも美しさを感じる瞬間がたくさんありました。
「恥ずかしくて動きたくないってことは大事。心と身体を一緒にさせているからね。」
水越さんが優しく語りかけます。
お互いに拍手を送り、感想を伝え合う姿は生き生きとしていました。

最後はみんなでフリーダンス。
音楽に合わせて体育館をのびのびと動き回って、2日間のワークショップを終えました。

先生との振り返りでは「普段は自信がなくてみんなの前に出ることが難しい児童が、笑顔で身体表現していたり、話すことが難しい児童が大きな声を出して、声に合わせて動いたりする姿が見られた」という感想をいただきました。

子どもたちの内に秘めているものをどうアウトプットさせるか悩んでいた先生。
「やらないという選択肢をあえて言葉にして認めることで安心感を持ち、より児童の自己肯定感が高まった」と、目を輝やかせながらおっしゃっていました。

さぁ、これからどんな『11ぴきのねこ』が誕生するのでしょうか。
たくさんのアイデアが詰まった、ワクワクする香りが漂ってきますね。


このワークショップは、花王ハートポケット倶楽部の協賛をいただいて実施しました。

芸術家と子どもたちでは今年度、令和5年度(補正予算) 独立行政法人福祉医療機構 社会福祉振興助成事業の支援を受けて、豊島区内のひとり親家庭や困窮家庭の子どもたち、外国にルーツを持つ子どもたち、母子生活支援施設の子どもたちなどとのワークショップを実施しています。

この企画では、演劇・身体表現・美術・音楽など様々なジャンルのアーティストが関わってワークショップが進行しており、今回のブログでは、演劇チームを担当している渡辺麻依さん(以下、まいぼ)と、年中~小学3年生の子どもたち5人とのワークショップの様子をお届けします。

実施概要
対象:豊島区内に住む年中~小学3年生の子どもたち5人
実施日:2024年9月14日(土)
アーティスト:渡辺麻依(演出家・俳優)
アシスタント:佐藤円(俳優)、ケンノスキー(俳優)、鈴木亜希子(俳優)

※昨年度までの活動はこちら


認定NPO法人豊島子どもWAKUWAKUネットワークの協力をえて、参加者となる子どもたちと出会い、今年度のワークショップをスタートして4回目となるこの日。 まだ少し緊張した面持ちでいる子や、早速アーティストとお喋りを始める子、黒板にお絵描きしている子など、それぞれの過ごし方で始まりを待っています。

「寒くなる季節に、みんなで<ほしの物語>の発表会をしたいと思ってるんだ。そのために、今日はみんなで<おかしなおかしのほし>をみんなでつくりたいんだけど、どうかな?」 まいぼが子どもたちに相談するところからワークショップはスタート。

見本の傘を見ながら、「わたあめに見える!」「アイスの実がついてる!」と嬉しそうに声を上げる子どもたち。
色とりどりのビニール傘から、自分のお気に入りを1本選び、早速<おかしなおかしのほし>づくりが始まります。

「何つくろうかな~?」と、カラフルなカッティングシートを好きな形に切りながら、お喋りも弾みます。
「この形きっておいて!」と、ちょっと大人の手を借りたり、
「それめっちゃいいね!」と、友達のアイディアを真似してみたり、
「ハイチューつくれるかな?」と、おかしのイメージを膨らませてみたり。

 

完成に近づいてくると、「隠れハート探してみて!」「ねこちゃんの隠れ家みたい~」などなど、子どもたちの遊びも広がっていきます。

 

ちょっと他のことがしたくなったら、自分だけの休憩タイムもちょくちょく挟みつつ…

全員の<おかしなおかしのほし>が完成したら、それぞれ何味なのかを発表します。
ソーダ味、イチゴオレ、バニラ、フルーツ、ほね味まで! 個性豊かな<おかしなおかしのほし>が揃いました。

最後は、子どもたちから出てきた言葉を繋げて、まいぼが歌をつくってくれました。
優しいウクレレの音色に合わせて、みんなも気に入った楽器を奏でながら一緒に歌います。

すぐに歌詞を覚えられなくても、リズムがバラバラでも大丈夫!
カラフルな<おかしなおかしのほし>に囲まれて、思い思い楽しそうに音を奏でたり、歌ったり、身体を揺らしたりしている子どもたちの姿は、
もうそれだけで、お芝居の1シーンのように素敵な時間が流れていました。

「次回もまた来てね!」と約束をして、今回のワークショップはおしまい。
「次はお面もってこようかな~」など、次回を楽しみにしてくれている様子が嬉しい、あっという間の90分でした!

ワークショップ実施にあたり、サポートしてくださった保護者や地域の皆様、そして、ご支援くださった令和5年度(補正予算) 独立行政法人福祉医療機構 社会福祉振興助成事業の皆様に、この場を借りて心よりお礼申し上げます。


主催:特定非営利活動法人 芸術家と子どもたち
助成:令和5年度(補正予算) 独立行政法人福祉医療機構 社会福祉振興助成事業
協力:認定NPO法人豊島子どもWAKUWAKUネットワーク、社会福祉法人 愛の家 愛の家ファミリーホーム、まなびすたーり

芸術家と子どもたちでは、公益財団法人パブリックリソース財団(以下、パブリックリソース財団)と一般社団法人プロジェクト希望(以下、プロジェクト希望)が協働し、創設した「感動体験支援基金」の第2回目(2023年度)のご支援を受けて、児童養護施設とファミリーホームに暮らす子どもたちと、202429月に9日間のワークショップを実施しました。 最終日には、特別養護老人ホームに出向き、敬老の日イベントのパフォーマンスとして、オリジナルのダンス作品の発表会を行いました。

  ◎ワークショップ実施概要

児童養護施設・ファミリーホーム ×北川結・水内貴英
参加した子どもたち

児童養護施設1施設、ファミリーホーム1施設 計18人(年中~高校1年生及び退所者)

アーティスト

北川結(ダンサー・振付家・イラストレーター)、水内貴英(美術家)

アシスタント・アーティスト

中村理(ダンサー・絵描き)、内海正考(ダンサー・三味線弾き)、辻󠄀田暁(ダンサー・俳優)

ワークショップ実施日 ➀2/24 ②3/9 ③5/12 ➃6/2 ⑤6/23 ➅7/28 ⑦8/4 ⑧8/23 ⑨9/1(最終日は発表)

アーティストと子どもたちが出会ったのは2月。そこから9月の発表までに、北川結さんたちとダンスを6回・水内貴英さんと美術を2回、丁寧にワークショップを積み重ねていきました。

ダンスワークショップ・前半は、北川さんの動きを真似したり、自分の考えるおしゃれなグー・チョキ・パーを全身で表現してみたり、三味線の音にあわせて動いてみたり、身体でたくさん遊びながら一人ひとりの豊かな表現を引き出していきました。みんなで円になって拍手やポーズを隣の人から受け取って隣の人に渡したり、2人組になって相手の呼吸やイメージを感じ取りながら協力して自由にポーズをとったりと、他者とのつながりを大切にしたワークも味わいました。

美術のワークショップでは、持ち運びができる舞台美術として、被って変身する「ゆるキャラぶくろ」をつくりました。身体全体がすっぽり隠れる大きな白い袋に、ペンやクレヨンで絵を描いたり、毛糸やテープで装飾したり。水内さんの「こういうものをつくらなきゃということはないので、自由にやっていいです。すぐやらなくてもいいです、一生懸命やらなくてもいいです。自分の気持ちに素直にやってください。」という言葉をきっかけにスタート。寝そべりながら描いたり、おしゃべりしながら他の子を手伝ったり、ゆるやかに流れる時間の中で、それぞれのこだわりが溢れる個性的なキャラクターが誕生しました。

ダンスワークショップ・後半は、引き続き丁寧に関係性やワークを積み重ねることを大事にしながらも、発表を意識した取り組みに。「こんなダンスを踊ってみたい!」とソロダンスで自分の思いをかたちにすることに挑戦したり、グループで「みんなでやったら面白そうな動き」のアイデアを出し合って息をそろえて動いてみたりしました。発表前、最後のワークショップでは、北川さんが子どもたちそれぞれの好きな色でつくってくれた世界で1つだけのTシャツもお披露目。

いよいよ9月1日。老人ホームの利用者さんや職員さん、児童養護施設やファミリーホームの職員さんも含めて総勢80名ほどのお客さんを前に、これまでの成果を発表しました。皆様からのやさしい眼差しの中、ゆるキャラぶくろでの登場、ソロダンス・グループの動きを、いきいき踊りきった子どもたち。  

敬老の日のイベントということもあり、90歳や100歳など節目を迎える方へ色紙のプレゼントを渡すという大役も任してもらいました。それぞれが考えたユニークな動きで色紙を渡しに行くと、涙を浮かべる方も。カーテンコールでも皆様からたくさんの拍手をいただき、とてもあたたかい時間となりました。

また、この日のために感動体験支援基金 創設者の平井一夫さん、プロジェクト希望の皆様が駆けつけてくださり、子どもたちに素敵な感想とエールをおくってくださいました。

発表会後に子どもたちから感想を聞くと「楽しかった、またやりたい」「おじいちゃんおばあちゃんがよろこんでくれてうれしかったです」と。充実さが伺える子どもたちの表情が印象的でした。

アーティストのつくる安心した雰囲気の中で、子どもたちがのびのびと自分を表現する姿、ちょっと一歩踏み出してみる姿、また休憩中の何気ないおしゃべりも、毎回がかけがえのない素敵な瞬間でした。

アーティストの皆様、歩みを共にしてくださった児童養護施設・ファミリーホームの皆様、発表の機会として温かく迎えてくださった社会福祉法人 緑友会 小川ホームの皆様、そして、アーティストと子どもたちの出会いの機会をくださったパブリックリソース財団とプロジェクト希望の『感動体験支援基金』の皆様に、この場をお借りして心よりお礼申し上げます。 

 

写真:14枚目 NPO法人芸術家と子どもたち、513枚目 金子愛帆

2021年度から3年間、BNPパリバ財団の芸術教育支援プログラム「Dream Up」の支援をいただいて実施してきた、児童養護施設と障害児入所施設でのワークショップの最終年度のレポートです。「Dream Up」は、芸術教育を通じて世界の子どもたちを支援する社会貢献活動で、社会的に不利な状況にある子どもたちに、才能開花の機会を提供するために、世界30か国で展開されています。(※プロジェクトの概要や2021年度2022年度の記事)

◎2023年度実施概要

児童養護施設×棚川寛子  
参加した子どもたち 2施設(交流)小学1年~高校3年生 17人
アーティスト 棚川寛子(舞台音楽家)
アシスタント・アーティスト 井上貴子(俳優)、加藤幸夫(俳優)、黒木佳奈(俳優)、佐藤円(俳優)
ワークショップ実施日 ➀11/26 ②12/23 ③1/27 ➃2/4 ⑤2/25 ➅3/9 ⑦3/16 ⑧3/30
障害児入所施設×前期:新井英夫  
参加した子どもたち 小学4年生~高校3年生 11名
アーティスト 新井英夫(体奏家・ダンスアーティスト)
アシスタント・アーティスト 板坂記代子(ダンサー)、はしむかいゆうき(演奏家)
ワークショップ実施日 ➀10/15 ②11/11 ③12/17 ➃5/5(美術館遠足)
障害児入所施設×後期:松岡大  
参加した子どもたち 小学4年生~高校3年生 11名
アーティスト 松岡大(舞踏家)
アシスタント・アーティスト 高嶋柚衣(俳優)、加藤理愛(ダンサー)、小山まさし(ダンサー)
ワークショップ実施日 ➀1/20 ②3/10 ③3/26 ➃4/3 ⑤4/20

・児童養護施設での2施設交流ワークショップ

舞台音楽家・棚川寛子さんたちと、2つの児童養護施設の子どもたちが交流するワークショップを実施しました。

3年目となる2023年度のワークショップは、台本づくりから演出に至るまで、子どもたち自身の手によるオリジナル劇の創作にチャレンジしました。

ワークショップ初日、アーティストから子どもたちに、今回どんな作品をつくってみたいか問いかけると、ある子から「演劇の発表がしてみたい」という提案があり、今回の創作がスタートしました。どんなストーリーを演じてみたいか、どんなキャラクターになって登場したいかなど、作品のあらすじをみんなで考えた後、台本づくりに名乗りをあげた2人の子が、お互いのアイデアをやり取りしながら、ひとつの物語にまとめてくれました。そして、台本の台詞や動きなどを基に、子どもたち自身が想像力を働かせながら、シーンをつくっていきました。

また、衣装についても、アーティストや職員のサポートを受けながら、子どもたち一人ひとりが自分の登場キャラクターに合わせてデザイン・制作をしました。

発表では、ジェスチャーゲームのクイズ合戦やダンス対決など、子どもたちの「こんなことがやってみたい!!」というアイデアがたくさん詰まった作品になりました。

 

・障害児入所施設でのワークショップ

前期は、体奏家・ダンスアーティストの新井英夫さんたちと、zoomを使ったオンラインでのワークショップを実施、後期は、舞踏家・松岡大さんたちと対面でのワークショップを行いました。

新井さんとのオンライン・ワークショップは子どもたちを3グループに分けて実施。少人数のグループで、個々の興味・関心に寄り添えるようにしながら、それぞれの表現を引き出していきました。手をつないでみんなで輪になって一緒に身体を動かしたり、誰かと身体の一部をくっつけてポーズをつくったり、人との関わりも大切にしながらワークショップを重ねました。また、人がすっぽり入れる「チューブ布」を使って、魔法使いになったつもりで動きを考えるなど、イメージを楽しむワークも取り入れました。

 

後期は、松岡さんと学園を訪れての対面でのワークショップを行いました。5人程度の2グループに分けて、2人組や、みんなで協力して動くワーク、好きな曲に合わせて、列や輪になってみんなで一緒に踊ることなどを楽しみました。ある子は、毎回ワークショップが始まる少し前にアーティストの所に来て、その日どんなことをしたいか、どんな曲を使いたいかなど相談する時間も設けました。そうすると、彼からやりたいことの提案があり、それをアーティストと一緒に試してみた後、他の子が揃ったら彼とアーティストのダンスをまず見てから始めることもあり、リーダーシップを発揮してくれました。

最終回は、衣装のDream Up Tシャツを着て、施設内のワークショップに参加していない子どもたちや職員さんを巻き込んだ発表会を開催しました。ワークショップでつくった踊りを披露した後は、見ていた子どもたちも次から次へと自然に参加するダンスタイムへ。一緒に踊ったみんなでカーテンコールをして拍手をもらい、あたたかな時間となりました。

そして今回は後日、特別に前期のアーティスト・新井英夫さんが作品を出品している、東京都現代美術館での企画展『翻訳できない わたしの言葉』の観覧に、子どもたちや職員の皆さんと一緒に出かけました。初年度にワークショップに参加して、既に退所している若者も参加し、展示されているワークショップの写真を見たり、新井さんと一緒に体験コーナーに参加したりするなど、楽しい冒険の一日となりました。 

3年間を通して、BNPパリバ社員の方が子どもたちと一緒にワークショップに参加したり、発表を見届けて子どもたちにメッセージを伝えてくださったりしたことがたくさんありました。子どもたちにとってもいろいろな大人と出会う機会となり、一緒に事業を支えてくださったことに、この場をお借りして心よりお礼申し上げます。

 

 

三重県伊勢市にある宮川医療少年院にて、水内貴英さん(美術家)と中学生の子どもたち11人とのワークショップを実施しました。2日間連続、各回90分・120分の実施となったワークショップの様子をご紹介します。

『わたしがいる場所~小さな世界を作ろう』と題された今回のワークショップで大切にしたのは、一人ひとりが「自由に作ろうとする」体験をすること。
「自由に作る」というのは、楽しいことではありますが、同時にとっても難しいことでもあります。施設の特性上、自由が少ない環境に身を置いている子どもたちが、そこに挑戦することで、これから社会で生きていく上での何かの力に繋がっていけば嬉しいなと思いながら、ワークショップの場を紡いでいきました。

体育館に並んだ2mほどの高さがあるシーツテント。中には電球が1つ吊るしてあります。
「これから2日間かけて、一人一つ、テントを自由に自分の空間にしていいです。作りたくなかったり、どうしようか悩んだりしたら、テントの中で寝ててもいいんだよ。」という水内さんの声掛けに、少し驚きながらも、開始と同時に早々に手を動かし始める子どもたち。

材料は水彩絵の具、油性マジック、色紙、カッティングシート、毛糸、リボン。それらを自由に使って、それぞれの空間を形作っていきました。

「テントの中をプラネタリウムみたいにしたいのだけど、どうしたらいいですか?」
「虹を描きたいんですが、虹の色の順番教えてもらえますか?」
「紫色って、どうやったら作れるんでしたっけ?」

水内さんはじめ、私たちが何か指示したり誘導したりすることもなく、子どもたちそれぞれに、作りたいものやイメージがあり、そこから生まれる疑問や課題に、大人が応えていくような形で進行していった今回のワークショップ。

自分の作品を描ききると、ふと隣の子の作品を見て、「それ、いいね」と声をかけ合っていたり、「こっちもこうしてみようかな」と新たなアイディアを思いついて作品に反映させている姿も印象的でした。

あっという間の2日間。ワークショップ終盤には、体育館の電気を消して、テントの灯りを楽しんだり、一人ひとりの作品鑑賞ツアーも行い、こだわったところ、みんなにみてほしいところを話してくれる子もいました。

ワークショップ終了後、子どもたちが書いてくれた感想文をいくつか紹介します。


・今まで美術というものに対して好きとか楽しいという気持ちをもったコトがほぼありませんでしたが、今回の体験で、美術への考え方がグッと変わりました。

・何事も実践してみたりしている時間が良いなと思いました。

・(印象的だったのは、)他の人がくふうして作っているのを、そんなふうに使えるんやと、見て面白かったこと。自分の想像で、いろいろなことを考え作って楽しいと感じられたこと。

・絵をかいている時は夢中で、ずっと集中していました。作業一つ一つが楽しかったです。

・今までは先生からやらされているような感覚があり楽しめませんでしたが、そのような感覚もなく、自分から考えていく楽しさがありました。

・美術の勉強をしたいので出来たら又来てもらえるとうれしいし、楽しそうな風に思うので又お願いします。


芸術家と子どもたちとしても、初めての経験となった少年院での美術ワークショップ。
子どもたちから湧き出て来る発想力や創造力に、驚かされ続けた2日間でした。

突然来た私たちを快く受け入れてくれ、臆することなく「自由に作ること」を楽しんでくれた子どもたち、また、子どもたちが安心して楽しく活動に参加できるよう、心を尽くしてくださった水内貴英さん、そして宮川医療少年院の先生方に、この場を借りて心から感謝申し上げます。

【助成】公益財団法人 ベネッセこども基金

R5(2023)年9月より実施している「そだちのシェアステーション・つぼみ(清瀬市)」での、武徹太郎さん(音楽家・美術家)と子どもたちの音楽&美術ワークショップ。
今回はワークショップレポート第3弾をお送りします。

●これまでのワークショップの様子
>>『うたう、つくる、あそぶ』ワークショップレポート vol.1

>>『うたう、つくる、あそぶ』ワークショップレポート vol.2

いつもは施設内のスペースで実施しているワークショップですが、今回は敷地内にあるグラウンドで、音楽を楽しみながら絵を描く「ライブペインティング」を実施しました!

絵の具と大きな紙、そしてカッパを用意すると…
子どもたちは少しずつ絵の具と筆を手に取り、描きはじめていきます…!

武さんも加わり、子どもたちも楽しそうに描いていると、それを見てまた子どもたちが集まってきました。

そのすぐ近くでは、アーティストの皆さんが演奏で子どもたちのペインティングを盛り上げていきます!

演奏はもちろんのこと、武さんは子どもたちが塗る色の言葉を歌詞にして歌い、即興ソングでペイントを盛り立てます。

絵を描くほかに、楽器に興味をもって集まってくる子どもたちもいて、太鼓や鍋などのオリジナル楽器をたたきながら、ペイントと演奏が色濃く交わっていきました。

最後の最後まで、紙が擦り切れるまで夢中になって描く子どもたち。

最後までやりきり、とても良い顔を見せてくれました。
今回ペイントした紙はしっかりと乾かし、その後のワークショップでも切り貼りしながら使っています。

特に最後まで描いてくれた2人の子どもたちは、最初から最後まで2時間ほど集中して描いており、最後に「できた」と宣言!まわりの大人たちも心からの拍手を送るシーンが印象的でした。

今回も、子どもたちのダイナミックなパワーと創造力に驚かされるワークショップでした!
[ライブペインティングWS写真撮影:金子愛帆]

主催:特定非営利活動法人 芸術家と子どもたち
協力:そだちのシェアステーション・つぼみ
こどもの未来応援基金の支援を受け実施しています

墨田区立の小学校・特別支援学級、1~6年生の子どもたち15人と取り組んだ、ある日のワークショップ。アーティストの荒井康太さん(ドラマー・太鼓奏者)、アシスタントの鈴木彩華さん(ダンサー)と、子どもたちや先生が紡いだ、音楽とダンスがまじりあった一日をご紹介します。

事前の打合せでは、先生からの「とにかく子どもたちが音を出すことを楽しめたら良いな」というリクエストと、アーティストの「音楽をもっと自由にしたい」という想いを伝え合ってワークショップ当日を迎えました。

会場となった視聴覚室には、アーティストが持ち込んだ楽器や、学校からお借りした楽器が並べられ、部屋に入るなり「世界中の楽器が集められてる」と興味津々の子どもたち。まずはそれぞれ気になった楽器をしばらくさわってみました。その後、アーティストが一つひとつの楽器を鳴らして紹介しながら、アシスタントのダンスを観てもらい、そのうち子どもたち自身の気持ちも膨らんで、自然と自由に演奏する時間になっていきました。

いろんな太鼓が合体した楽器を何人かで一緒に演奏したり、荒井さんの出身地・青ヶ島の太鼓を両側から好きなリズムで叩いてセッションしたり、友だちと一緒に音を楽しむ姿も見られました。

普段学校では見かけないような楽器を身に着けたり、アーティストと一緒に呼応するように鳴らしたり、部屋のそこここで、いろいろな音楽が生まれていました。

そのうち「ダンスもやってみよう」という声かけで、静かな動きや静かな音を出したり、いつの間にか誰かとつながって踊り始める子がいたり、身体を使った時間も広がっていきました。何人かで相談しながら動きを考えたり、電車のようにつながってみたり、その間も、どこかしらで、何かしらの音が鳴っている時間が続きました。

最後には、少し外に出てみました。持って鳴らせる楽器を選んで、みんなで中庭をぐるっと一週。土管の中も器用に通って、パレードを楽しみました。そうして教室に戻り、「まだやりたい」という名残り惜しい声を聞きつつ、ワークショップを終えました。

最後の先生との振返りでは、「普段そんなに楽器に興味を示さない子も、初めて見る楽器に興味を持ってさわっていた」「楽譜を演奏するだけじゃない、こういう音を楽しむ時間があって良いと思う」といった感想をいただきました。

大人が導くだけではなく、子どもたちに場を委ねながら、子どもも大人も関係なく音楽とダンスを思うままに行き来して過ごす時間が、心地良い一日となりました。


このワークショップは、花王ハートポケット倶楽部/花王株式会社の協賛をいただいて実施しました。

都内公立小学校にて伊藤壮太郎さん(俳優・舞踊家)と子どもたちのワークショップを実施しました。
アシスタントとして児玉彩愛さん(ダンサー)にご参加いただき、さまざまな表現に触れる2日間のワークショップとなりました。

まずはウォーミングアップ。はじめに、聞き慣れた「ラジオ体操第一」で準備体操をしました。身体に馴染んでいる動きですが、ちゃんとやってみるとジャンプや身体のひねりなど面白い動きもあります。伊藤壮太郎さんから「難しい動きはあった?」「どんな動きが好きだった?」と聞かれると、子どもたちはしっかり思い返して「この動きが好き」と話し合いました。

次に、伊藤さんの「次はラジオ体操 第13?第14?くらいのオリジナルダンスをやってみよう!」という声に、子どもたちも興味津々。伊藤さんの動きや、アシスタントの児玉さんの動きをまねしながら、新しい動きに次々とチャレンジしていきました。途中、元気いっぱいに走る姿をみて、伊藤さんはゆっくり動く表現も取り入れていきます。

バランスをとる動きや、床にある線に沿って歩いてみるなど、たくさん身体を動かしながら、さまざまな表現を体験した子どもたち。

次に円になって、隣の人に拍手をまわすワークを実施。何回か繰り返すと、きちんとお隣の友達に拍手を渡して繋げていくことができました。次は、オリジナルポーズをお隣にまわしていきます。すぐにポーズする子も、少し考えながらポーズを考える子も、全員があたたかく見守るなかで、しっかりと伝え合う時間をつくることができ、1日目のワークショップを楽しく終えることができました。

2日目は、子どもたちの自由な表現を引き出すことに加えて、伊藤壮太郎さんの言葉やお題などを聞きながら表現していくワークにも取り組みました。

手や指先が天井に引っ張られているように動いてみたり、寒いときの歩きかたをみんなで探ってみたり…!お友達の表現も「いいね!」と認め合いながら、イメージして表現することを楽しみました。

さらに、グループに分かれて表現を創作することにも挑戦。何をテーマに表現するかを相談し「怒っているトカゲ」「家で遊んでいる猫」「天気がカンカン照り」など、子どもたち自身が出したアイディアを身体で表現することにも挑戦しました。グループの発表が終わったら、何に見えたか感想を共有しました。いろんな回答を出し合い、こんなふうに見えたよと感想を伝え合いました。

伊藤さんは「みんなが思っていることが大正解」「どんな風に思ったかを伝えてくれてありがとう」と、子どもたちみんなの表現を大事にする姿が印象的でした。

最後は、伊藤さんと児玉さんのダンスをみんなで鑑賞。真剣に見ていた子どもたちは、二人のダンスが終わったあと「すごかった」「(表現が)泣いているように見えた」など、子どもたちの心に残る体験になったようでした。

伊藤壮太郎さんは「言葉ではない方法でも、こうやって伝え合うことができる。何を伝えようとしているのかな?とよく観察することで、こう思ったよと表現することもできるんだよ。」と表現の楽しさを伝えてくれました。

あっという間の2日間でしたが、子どもたちはワークショップのなかでたくさんの表現に触れ、自分で考えたオリジナルの表現を他者と共有する時間を大切に過ごしました。

伊藤壮太郎さん、児玉彩愛さん、ご協力いただいた先生方に心より感謝を申し上げます。
ありがとうございました。


【助成】積水ハウス株式会社/積水ハウスマッチングプログラムの会