★『お祭りやろう!』ワークショップ二日目★
今日は始めにじぶんの分身をつくりました。
じぶんの形を触ったり、友達と触りあっこしたりしながら、紙でじぶんの形をつくって竹ひごに吊るしてみました。それからその分身とお散歩をしたり、友達の分身とあいさつをしたりしながら、部屋の中を分身と一緒にぐるぐるまわってみました。最初は「分身どうしよう」と言っている子も、だんだんとじぶんの分身に顔を描いたり、愛犬をつくったり、可愛がってあげていました。
それからその分身を連れて外に出てみました。風でひらひらする分身を心配しながらも、分身を塀の隙間の中に入れたりして、向こう側はこんな世界だったとお互いに分身の気持ちになって話し合ったりしていました。
公園に着くと、暑い中でも子どもたちは早速じぶんの分身を連れて遊びだします。滑り台やブランコに連れ出して分身にも同じ格好をさせてみたりして、大事に面倒をみていました。シーソーで遊んでいる子の中には、分身のついている竹ひごをシーソーにさして、分身同士がシーソーの上で釣り合ってる大発見をしていました。周りにいる子たちも次々とじぶんの分身をシーソーにのせていくと、かすかにシーソーが動いたかも!と、最終的には人間の魂と分身の魂の重さ比べで、念力を送ったりしながら勝負したりしました。
水分補給をしながらも、元気のある子どもたちは鉄棒でいろんな遊びを披露したり発見したり、元気な様子でした。
次に、分身を誰にも見つからないようにじぶんだけが知っている場所に隠す、分身のかくれんぼをしてみました。隠れている姿が見えない物陰の中に入ったりして、じぶんも見えないようにする子もいれば、歩き回らないでいつのまにか隠して余裕な顔で待っていたり、様々なじぶんだけの秘密ごとをつくっていたようです。それから、その隠した分身をみんなでまた見つけたことを誰にも言わないように探しました。見つけられなかった子から五つ六つ見つけた!という子まで、みんな積極的に発言していました。何かの下敷きになっていたり、よく見たら確かにそこにいるはずなのに気づかなかったりして、ネタばらしを最後にみんなでしながら、こんな隠し場所があったのか!とたくさんの発見をしました。
それからホールに戻ってお昼休憩をとりました。
休憩後はみんなで片付けをしながら萩原さん(アシスタントさん)の手と足にテープを巻いて封印して、新聞紙で全身をみんなで隠しました。靴の中にも新聞紙を入れたりいたずらを楽しみました。封印された萩原さんを起こしてみよう!と話し合って萩原さんの周りを囲みながらみんなで思いっきりうるさくして、ある合図で一瞬で静かにしてみようという案に決まりました。一回目は静かになりきれなかったけれど二回目にぱっと静かになって、萩原さんの封印がとれて起きると、子どもたちからどっと歓声が起こりました。
みんなが机に集り、今度は”おまじない”を考えました。まず身近な知っているおまじないを話し合うと、恋のおまじないから友達と仲良くなるおまじないまで、小学校で流行っているおまじないがたくさん出てきました。いろんなおまじないを知ったところで、神さまを呼び出す”おまじない”を一人ひとり内緒にしながら考えてみました。神さまの”み”と”さ”の字から”3”と言う数字が導きだされて3日の3:33に「かみさま!」と叫ぶ、神さまと一万回書く、などの意見が出る中、一つ決めてやってみよう!ということで33分になった瞬間にみんなで「ゴッドハッピーパタパタ!!」と大きな声で言うことに決定しました。33分に近づくにつれて緊張したりわくわくしながらも、「神さま本当にいるのかな?」という顔をしている子もいました。
33分、ゴットハッピーパタパタ!!!!!!
一斉に叫ぶと一瞬空気が変わったようにしん、としました。きょろきょろとあたりを見回しているとなぜか、一点をそろって見ていることに気づき、もしかしてそこに神さまが?誰かが「光っているよ!」というと誰かが「ほんとだ!」と言って、「あそこだけ何かが違う」と言うと、みんなでその空間に目を凝らしました。あれは、神さまだったのかもしれません。
最後にみんなでからだをほぐすストレッチをしました。二人組になってからだの力を抜いて、もう一人の子が揺らしたり、こんどは棒に変身してもう一人の子が持ち上げてあげたり、みんなでその棒になっちゃった人を立たせてあげたりしました。子どもたちは、「じぶんより重いおとなを立たせてあげるから寝て!」とチャレンジ精神満載だったと思います。まだまだ遊びたい!と言う子が多く、終わる時間が来た後も残って遊んでいる子が多くいました。
記事:平野さりあ
★『お祭りやろう!』ワークショップ一日目★
演出家のトチアキタイヨウと小学生の子どもたちによる8日間のワークショップが東大和市民会館ハミングホールで始まりました。
まずは、”居眠りおじさん”というネイチャーゲームの一つの遊びをしました。
みんなで輪をつくって真ん中には”居眠りおじさん”役の人が目隠しをしてたからものを守っています。気配を消してゆーっくり近づいて気づかれないようにたからものをとってくるというルールです。
当てられた子は見られた!という顔をしながらも、またやりたい!と積極的に参加していました。
”居眠りおじさん”のまわりにだんだん新聞紙、紙袋で結界がはられていくと難易度が高くなっていき、子どもたちは、どうやってたからものまでたどり着こうか?後ろから?前から?
周りで見ている子たちも集中してその場を見守っていました。
次に気配を消しながら歩きました。そーっと音をたてないように、みんなで歩いたら扉のあく音、ペットボトルのキャップをあける音、どんな音がしたかこっそり教えあいながら、こどもたちはまわりの音に敏感になっていきます。誰かの後ろをつけてみよう。ばれないようにこっそりつけていると、いつのまにかじぶんの後ろにもこっそりついてくる誰かがいたりします。
(休憩)
トチアキタイヨウさんと子どもたちで神さまについてはなしました。
神さまってなんだろう?
いいもの?わるいもの?
神さまってどこにいるんだろう?
空、海、地下、妄想、じぶんの中、どこにでも!やっぱりいない!
こどもたちからたくさんの答えがかえってきました。
神さまをさがそう!
神さまのすがたはみえない。見えない神さまをさがすには……
作戦1 変身する 自分以外の誰かになってみよう。自分のすがたを隠してみよう。
作戦2 分身する 自分の分身を作ってみよう。
変身した時のために先にいたずらを考えました。
ふだんはおこられちゃうこと、悪くてたのしいこと
家の鉛筆の芯をぜんぶ折る
目覚まし時計の時間を遅くする
お風呂のお湯をスライムにする
先生のボールペンをとってテストを100点にする
服のボタンを一個ずらす などなど
世界のことからお風呂場や好きな食べ物までさまざまないたずらっ子がでてきました。
変身してみよう。紙袋をつかってじぶんを隠してみよう。
覗き穴から見る世界はいつもと違っているみたい。
手を出してみたり紙袋をひっくりかえしたり、髪の毛もだしてみたり
もういちど歩いてみると、あれ、へんな人がたくさんいる!
今日はここまで。
記事:平野さりあ
読んだ絵本:『おおきなかぶ』『ノンタンおよぐのだいすき』『がたごと がたごと』『これはちいさな本』『みずちゃぽん』など
台風一過でようやく夏らしくなった7月の一日、今年度初めての「読んで遊んでえほんの会」を開催しました。
今回は、えぽんずメンバーから、たけうちみずゑさんと、ダンサーの飯田寛子さんをゲストにお迎えし開催しました。
また、この日は、夏休み期間中に豊島区内各所で行われる「としまアート夏まつり2015」の一プログラムだったこともあり、平日にも関わらず、初めてえほんの会に参加して下さった方もいて、とても賑やかな一日となりました。
えほんの会の始まりは、まず少し身体を動かしてみることからスタート。思いっきり手を伸ばしたり、う~んと小さく丸まってみたり、いろんな擬音語に合わせて身体を動かしてみました。
その流れで、一冊目の絵本は『もこもこもこ』。不思議な言葉と絵が綴られた絵本です。三角の模様が飛び散っているような絵を見て「家が飛んでみるみたい」と言ってくれた女の子。えぽんずさんと一緒にみんなで身体を動かしながら音や絵を表現してみました。
さて、そして、次の絵本を取ろうとしたら、なかなか絵本が抜けない!?ということで『おおきなかぶ』の大きな絵本が二冊目でした。子どもたちにも手伝ってもらいながら絵本を取り出し、読むときにもお客さんの中から助っ人をお願いして「うんとこしょ どっこいしょ」のかけ声でみんなでかぶを抜きました。
午前の部の最後は、みんなで音も楽しめる『ドオン』。タイコにバケツ、タンバリン、音の出る物ならなんでも楽器になります。鬼チームと人間チームに分かれてたくさん音を鳴らして、最後はみんなで一緒に「ドオン!」。元気いっぱいの音とともに午前の部が終わりました。
午後の部も、最初はみんなで身体ほぐし。小さくなった後は、えぽんずさんがジョウロでみんなに水やり。芽が出るように、身体をムクムク動かして、だんだん大きく伸ばしていきました。そのまま午後の部の一冊目は『ひまわり』。芽が出てひまわりの花が咲くまでのお話を、みんなで身体を使って表現してみました。
そしてそして、頭に手拭いを巻き始めたえぽんずさん。取り出したる絵本は『知らざあ言って聞かせやしょう』!これは、歌舞伎の演目が絵本になったもので「知らざあ~」のセリフが迫力満点に響くと子どもたちも釘付けです。見栄を切るようにみんなでセリフに合わせてジャンプをしたり、お客さんにも絵本を読んでもらったり、言葉の響きの面白さを味わいました。
後半は、子どもたちからのリクエストもあり再び『おおきなかぶ』を読みました。午前中と同じように、子どもたちにもたくさん手伝ってもらって「うんとこしょ どっこいしょ」!大きな大きなカブをみんなの力で引き抜きました。
最後は『みずちゃぽん』という雨の絵本。大きな布を水のイメージに重ねて、子どもたちの頭上でフワフワさせながらしばらく水と戯れるように遊んで、賑やかなえほんの会の一日が終わりました。
さて、次回のえほんの会は少し先になりますが、年明け2016年の1月頃を予定しています。
詳細は決まり次第HPなどでご案内いたしますので、
今年度も「読んで遊んでえほんの会」をよろしくお願いいたします!
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☆7月のえぽんずさん:たけうちみずゑさん(俳優)
ゲスト:飯田博子さん(ダンサー)
5歳児クラス12人の子どもたちと、東山佳永さん(踊り手・美術家)のワークショップをご紹介します。みんなで一つのイメージを共有して、豊かな表現に出会う機会にしたい、という先生からのリクエスト。この園では、5歳児クラスだけがお昼寝をしない「ひみつの時間」という設定があり、その時間の中でアーティストと出会い、普段できないような体験をしてみたい、とのこと。普段の生活の様子でサーカス小屋をつくった子の話や、みんなおばけが好きということも伺ったので、『おばけサーカス』(作・絵:佐野洋子)という絵本をモチーフにワークショップの内容を組み立てました。アシスタントに音響デザイナーの白石和也さんもお迎えして、世界にたった一つのサーカス団をつくりました。
1日目は、アーティストによる『おばけサーカス』の朗読からスタート。物語に登場するおばけのサーカス団が披露する芸は「虹の橋を渡る」「森の中でヴァイオリンを弾く」など、想像を掻き立てる描写がたくさん詰まった絵本です。
朗読の後「うたと、おどりと、おえかきと、いろんなものを使って物語の中に入っていきます」と子どもたちに伝え、アーティストによるサーカスの芸を披露しました。アーティスト自身が描いた絵を背景に、踊りと音楽で芸を表現してみると、子どもたちは静かに見入っていました。
そしていよいよ、みんなでおばけのサーカスになる時間です。まず初めに「ひ・ひ・ひみつのサーカス団♪」というオリジナルの歌を練習してから、おばけになるためのストレッチ。身体のいろんな部分を伸ばしてほぐしてやわらかくして、身体の準備も整え、歌に合わせた振付も練習しました。
その後は、サーカス団の秘密の作戦会議。一人ひとりがどんな芸を披露したいか、得意なことや、どんな風景が思い浮かぶかということをヒントにアーティストと一緒に考えました。顔を後ろにするのが得意だから「さかさまの国」、「全部がへんてこな国」、「片足が得意」など子どもたちのアイデアを一つずつ拾いながら12人それぞれの芸を相談しました。
何を披露するか決まった後は、一人一枚ずつの布に芸のイメージを描いていきました。クレヨンや絵具、布を貼るなど、どんな風に描いても良く、いろんなものを使って好きなように描いていきました。最初は、自分より大きな真っ白の布を前にして、何から始めて良いか戸惑っている様子でした。でも、一人、また一人と描き始めると、あっという間にみんなどんどん手が動き出します。そのうち、手や足で描く面白さに気付く子も現れ、周りの子がどんな風に描いているかも参考にしながら、夜空の情景や、コウモリのいる洞窟、リンゴの木のある山の風景など、12枚の素敵な風景が完成しました。
最後に「上から見るときれいだよ!」と言ってくれた子がいて、みんなの描いた絵を眺めつつ、アーティストがその絵の中でみんなが考えた芸をヒントに少し踊ってみました。次回はみんなに芸を見せてもらうよ、と予告をして1日目の活動を終えました。
一週間後に迎えた2日目、この日はいよいよサーカスの始まりです。まずは準備運動で体をほぐし、前回覚えた「ひみつのサーカス団」の歌と踊りを思い出したら、早速サーカスの芸の練習です。描いた絵を被っておばけになって踊った後に、一人ひとりの芸を披露しました。芸のイメージを元にアーティストがつくった12人それぞれのテーマ曲に合わせて、山々をジャンプして飛び越えていく芸、ひっくり返ってさかさまの国を表現する芸、一番怖いおばけになって見ている友だちを驚かせる芸、星空を綱渡りする芸、ウサギやライオンに変身する芸など、色とりどりの芸が出そろいました。
さて、サーカス芸の練習が終わったら、次はサーカス小屋が必要です。子どもも大人もみんなで協力して、描いた絵を一つにつなげてサーカス小屋を組み立てました。平らな布が立体的に立ち上がっていく様子も楽しんで見守り、出来上がった時には中に入りたい気持ちが抑えきれない様子の子どもたち。「ひみつのサーカス団」を歌いながら入ったら、しばらくは好きにテントを眺めたり、いつの間にか走り回ったり、テントそのものとふれ合う時間を過ごしました。
そのうち、本を読みたいという子が出てきて、ここでもう一度『おばけサーカス』を朗読しました。でも、今度はお話の中に、12人それぞれの芸の話も織り交ぜてオリジナルの物語になっていました。
そしていよいよ、サーカスのはじまりはじまり。部屋の電気を消して懐中電灯の光だけにし、テントの中という特別な空間で、最初の練習よりも思い切って披露できたように思います。サーカスの最後は、12人みんなでリーダーの真似をするダンス。友だちが考えた動きをみんなで一緒に踊って、サーカスはおしまい。
アーティストから「うたでも、おどりでも、絵でも、何でもいいんだ。何か自分の得意なことを見つけて磨いてみてください。きっときれいになると思います」という挨拶と、みんなの音楽をCDでプレゼントして2日間のワークショップを終えました。
先生との振り返りでは、イメージがあることで動きも広がり、思ったより自己表現ができていた、絵からもイメージをつなげて表現していた、という感想や、「ひみつの時間」に自分たちでつくった特別な「ひみつのサーカス」のことを、人に話したい気持ちと秘密にしたいという気持ちの間で葛藤するのでは、というお話を伺いました。『おばけサーカス』の世界観を共有しながら、その中で一人ずついろんな表現を見せてくれた子どもたち。これから何でもできる可能性を秘めた子どもたちの中に、みんなでつくった「ひみつ」がいつまでも潜んでいられると良いなと思います。
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東山 佳永(とうやま かえ)/踊り手・美術家
https://www.children-art.net/touyamakae/