墨田区立の小学校・特別支援学級、1~6年生の子どもたち20人と取り組んだ、井田亜彩実さん(振付家・ダンサー)とのワークショップをご紹介します。アシスタントは荒俣夏実さん(ダンサー)で、2日間の実施でした。

この学級の先生方は、これまでの子どもたちの経験では振付を覚えるなど与えられた動きをすることが多かったので、今回は子どもたちが自分で考えて、自分のオリジナルのダンスを見つけたり、自分の良さに気づいたりして欲しい、という想いを持ってワークショップを申し込んでくださいました。

そして、事前下見の授業見学では、宿泊学習に向けて取り組んでいたダンスを見せてもらったり、国語で数え歌を歌う姿や、集中してカラフルなスウェーデン刺繍に取り組む姿を見せてもらい、身体を動かしたり楽しいことが好きそうな子どもたちの雰囲気に、ワークショップでもいろんなことに挑戦できそう、と感じて臨んだ2日間でした。

1日目は、アーティストの動きを真似したり、言葉のイメージから動きを引き出したり、いろんな動きを体験する回となりました。

最初はみんなで円になってウォーミングアップからスタート。井田さんのテンポの良い明るい声かけに、みんなあっという間に心も身体もほぐれていくようでした。そして、体育館に元からあるラインの上を、いろいろな歩き方で歩くワークや、体育館をジャンルグルに見立てて、ライオンやワニ、ワシなどの動物になって探検するワーク、「寒い」「暑い」など言葉のイメージから動きを考えるワークにも取り組みました。

後半は、『忍者』をテーマに動きを考えてみました。忍者がどんな動きをするのか、子どもたちにアイデアを出してもらい、それを実際にみんなでやってみると、「隠れる」の時にはㇲっと井田さんの後ろに隠れる子がいたり、「寝る」の時には忍者だから寝転ばずに座ったまま寝る子がいたり、一人ひとりがいろんな表現を見せてくれました。最後には、井田さんが考えてくれた振付を、子どもたちにも馴染みのある曲で元気に踊って1日目を終えました。

2日目には、1日目に子どもたちがいろんなアイデアを持っていることが分かったので、動きをつくることを中心に取り組みました。最初は、1日目と同じようにみんなで円になって、ストレッチや、二人組で身体の一部をタッチして挨拶など、楽しみながら身体をほぐしていきました。

一人がつくったポーズをもう一人がくぐるワークでは、ポーズもくぐり方も人それぞれで、面白い動きがたくさん生まれました。そして、1日目より少し細かな動きを多くして難しくした振付のダンスで全身を動かした後、後半には子どもたちに動きをつくってもらうことに挑戦しました。

2つのグループに分かれて、それぞれ『お正月』と『運動会』をテーマに動きを考えました。『お正月』チームは、「お年玉・お餅つき・だるま」など、『運動会』チームは「選手宣誓・リレー・玉入れ」などのアイデアが出てきました。そこから、一つひとつ身体で表現するとどうなるかを考えながら動いてみて、最後にはお互いのつくった動きを見せ合いました。どちらのチームもたくさんのアイデアが詰まった大作になり、お互いに拍手を送り合って2日間のワークショップを終えました。

ワークショップ後の先生との振返りでは、「自分の中にあるものを表現する今までにない貴重な機会だった」「普段は身体を動かすことに抵抗を感じる子も楽しく取り組んでいた」といった感想を伺いました。先生方もワークショップの間ずっと一緒に身体を動かして参加してくださり、普段の授業でも取り入れていきたいと仰っていたので、これからも子どもたちが身体を使って表現することを楽しみ、この学級でいろんなダンスが生まれていくのだろうなあ、と思える、とても楽しい2日間になりました。


このワークショップは、花王ハートポケット倶楽部/花王株式会社の協賛をいただいて実施しました。