芸術家と子どもたちでは、2021年度からの3年間、BNPパリバ財団の芸術教育支援プログラム「Dream Up」の支援を受けて、児童養護施設と障害児入所施設でのワークショップを実施しています。「Dream Up」は、芸術教育を通じて世界の子どもたちを支援する社会貢献活動で、社会的に不利な状況にある子どもたちに、才能開花の機会を提供するために、世界30か国で展開されています。

今回のブログでは、2年目となる2022年度の活動をご紹介します。(プロジェクトの概要や2021年度の記事はこちら

◎2022年度実施概要

児童養護施設×棚川寛子        
参加した子どもたち 2施設(交流)小学1年~高校2年生、施設退所者 18人
アーティスト 棚川寛子(舞台音楽家)
アシスタント・アーティスト 井上貴子(俳優)、加藤幸夫(俳優)、黒木佳奈(俳優)、佐藤円(俳優)
ワークショップ実施日 ➀9/25 ②10/16 ③11/13 ➃12/17 ⑤1/29 ➅2/19 ⑦3/25 ⑧3/26
障害児入所施設×新井英夫       
参加した子どもたち 小学4年生~高校3年生 11名
アーティスト 新井英夫(体奏家・ダンスアーティスト)
アシスタント・アーティスト 板坂記代子(ダンサー)、はしむかいゆうき(演奏家)
ワークショップ実施日 ➀11/12 ②1/9 ③2/5 ➃3/5 ⑤3/18       

・児童養護施設での2施設交流ワークショップ

舞台音楽家・棚川寛子さんたちと、2つの児童養護施設の子どもたちが交流するワークショップを実施しました。

2022年度のテーマは『生物多様性』。2回目のワークショップで、BNPパリバの社員の方にレクチャーをしていただき、そこから子どもたちがどんなことをしたいか、どうやって生物多様性を表現できるかを考えました。そして、ある子の「みんなで木をつくり、そこにそれぞれが考えた『いなくなったら困る生き物』を展示したら良いんじゃない?」という提案から創作が始まりました。クジラ、レッサーパンダ、ウサギ、イヌワシ、蝶など、一人ひとりがどの生き物を担当するかを決めて、まずは工作に取り組みました。友だちと協力したり、職員さんやアーティストたちに手伝ってもらったりしながら、いろんな動物が完成しました。

発表では、つくった生き物を影絵のクイズにして、観客参加型のコーナーを設けました。そして、その動物について調べたことを発表していきました。最後には、「子どもがいなくなったら意味がない!」ということで、子どもたちが子ども役でダンスを踊りました。

また、影絵のパフォーマンス中には、キーボードやカホンなど楽器の演奏や、照明の操作にも子どもたちが加わり、発表会をあたたかく盛り上げました。

 

・障害児入所施設でのワークショップ

体奏家・ダンスアーティストの新井英夫さんたちと、zoomを使ったオンラインでのワークショップを重ねました。

子どもたちの特性に合わせて、3グループに分けて実施。少人数のグループにすることで、個々の興味・関心に寄り添いながら、身体や音を使った表現を引き出していきました。ワークショップの始まりは、タイコの音で今日の気分を伝え合いました。思いっきり叩いて大きな音を出す子もいれば、最初は恥ずかしそうにそっと叩く子など、日によっていろんな音の挨拶をしました。そして、誰かと一緒に手をつないで「なべなべ底抜け」をしたり、ペアになって身体の一部をくっつけるポーズを考えたり、職員さんも一緒になって身体を動かして、人と人との関わりを楽しむ時間を積み重ねました。

また、工作や物語が好きな子とは、洗濯ばさみや毛糸、紙皿など身近なモノや、カラー粘土を使ったコマ撮りアニメの制作に挑戦しました。カラフルな洗濯ばさみを思いつくままに動かして虹のような形をつくったり、折り紙や毛糸を組み合わせて少しずつ動かし、カレーライスのつくり方を表現する様子に、職員さんもアーティストも感心していました。

 

衣装は、Dream UpのTシャツを、カラフルな端切れを使って加工してオリジナルの衣装にしました。当日は、BNPパリバの社員の方も一緒に参加して、子どもたちのリクエストに応えて一緒に素敵な作品をつくってくださいました。仮面ライダー好きの子は、緑系の色の端切れを集めて貼るのを手伝ってもらい、残念ながらお休みしてしまった子のTシャツは、お姫様が好きということで、社員の方が代わりにつくってくれました。

最後の日は、衣装のTシャツを着て、グループごとにファッションショーのランウェイを歩くつもりで踊る様子を記録して、後日施設内で鑑賞してもらえるようにしました。自分が好きな曲や、音楽の雰囲気をアーティストにリクエストして即興で演奏してもらい、最後は思い思いにポーズ!満足そうな表情が印象的でした。

今年度もBNPパリバ社員の方には何度もワークショップに足を運んでいただき、発表をご覧になった後には子どもたちに感想を伝えてもらうなど、あたたかく活動を支えていただきました。レクチャーを聞いたり、工作を手伝ってもらったり、新しい人との出会いや関わりがあることは、子どもたちにとっても嬉しい時間になったことと思います。2022年度もコロナ対策の影響などがあり、発表の日に現地に多くの社員の方をお招きすることはできませんでしたが、一緒に事業を見守ってくださったこと、改めて心よりお礼申し上げます。

★コマ撮りした画像に音楽を付けて動画にしました!

(アニメーション作成:高校生I君/編集・音楽:はしむかいゆうき/ナビゲーター:新井英夫、板坂記代子)