芸術家と子どもたちでは、公益財団法人パブリックリソース財団(以下、パブリックリソース財団)と一般社団法人プロジェクト希望(以下、プロジェクト希望)が協働し、創設した「感動体験支援基金」の第2回目(2023年度)のご支援を受けて、児童養護施設とファミリーホームに暮らす子どもたちと、202429月に9日間のワークショップを実施しました。 最終日には、特別養護老人ホームに出向き、敬老の日イベントのパフォーマンスとして、オリジナルのダンス作品の発表会を行いました。

  ◎ワークショップ実施概要

児童養護施設・ファミリーホーム ×北川結・水内貴英
参加した子どもたち

児童養護施設1施設、ファミリーホーム1施設 計18人(年中~高校1年生及び退所者)

アーティスト

北川結(ダンサー・振付家・イラストレーター)、水内貴英(美術家)

アシスタント・アーティスト

中村理(ダンサー・絵描き)、内海正考(ダンサー・三味線弾き)、辻󠄀田暁(ダンサー・俳優)

ワークショップ実施日 ➀2/24 ②3/9 ③5/12 ➃6/2 ⑤6/23 ➅7/28 ⑦8/4 ⑧8/23 ⑨9/1(最終日は発表)

アーティストと子どもたちが出会ったのは2月。そこから9月の発表までに、北川結さんたちとダンスを6回・水内貴英さんと美術を2回、丁寧にワークショップを積み重ねていきました。

ダンスワークショップ・前半は、北川さんの動きを真似したり、自分の考えるおしゃれなグー・チョキ・パーを全身で表現してみたり、三味線の音にあわせて動いてみたり、身体でたくさん遊びながら一人ひとりの豊かな表現を引き出していきました。みんなで円になって拍手やポーズを隣の人から受け取って隣の人に渡したり、2人組になって相手の呼吸やイメージを感じ取りながら協力して自由にポーズをとったりと、他者とのつながりを大切にしたワークも味わいました。

美術のワークショップでは、持ち運びができる舞台美術として、被って変身する「ゆるキャラぶくろ」をつくりました。身体全体がすっぽり隠れる大きな白い袋に、ペンやクレヨンで絵を描いたり、毛糸やテープで装飾したり。水内さんの「こういうものをつくらなきゃということはないので、自由にやっていいです。すぐやらなくてもいいです、一生懸命やらなくてもいいです。自分の気持ちに素直にやってください。」という言葉をきっかけにスタート。寝そべりながら描いたり、おしゃべりしながら他の子を手伝ったり、ゆるやかに流れる時間の中で、それぞれのこだわりが溢れる個性的なキャラクターが誕生しました。

ダンスワークショップ・後半は、引き続き丁寧に関係性やワークを積み重ねることを大事にしながらも、発表を意識した取り組みに。「こんなダンスを踊ってみたい!」とソロダンスで自分の思いをかたちにすることに挑戦したり、グループで「みんなでやったら面白そうな動き」のアイデアを出し合って息をそろえて動いてみたりしました。発表前、最後のワークショップでは、北川さんが子どもたちそれぞれの好きな色でつくってくれた世界で1つだけのTシャツもお披露目。

いよいよ9月1日。老人ホームの利用者さんや職員さん、児童養護施設やファミリーホームの職員さんも含めて総勢80名ほどのお客さんを前に、これまでの成果を発表しました。皆様からのやさしい眼差しの中、ゆるキャラぶくろでの登場、ソロダンス・グループの動きを、いきいき踊りきった子どもたち。  

敬老の日のイベントということもあり、90歳や100歳など節目を迎える方へ色紙のプレゼントを渡すという大役も任してもらいました。それぞれが考えたユニークな動きで色紙を渡しに行くと、涙を浮かべる方も。カーテンコールでも皆様からたくさんの拍手をいただき、とてもあたたかい時間となりました。

また、この日のために感動体験支援基金 創設者の平井一夫さん、プロジェクト希望の皆様が駆けつけてくださり、子どもたちに素敵な感想とエールをおくってくださいました。

発表会後に子どもたちから感想を聞くと「楽しかった、またやりたい」「おじいちゃんおばあちゃんがよろこんでくれてうれしかったです」と。充実さが伺える子どもたちの表情が印象的でした。

アーティストのつくる安心した雰囲気の中で、子どもたちがのびのびと自分を表現する姿、ちょっと一歩踏み出してみる姿、また休憩中の何気ないおしゃべりも、毎回がかけがえのない素敵な瞬間でした。

アーティストの皆様、歩みを共にしてくださった児童養護施設・ファミリーホームの皆様、発表の機会として温かく迎えてくださった社会福祉法人 緑友会 小川ホームの皆様、そして、アーティストと子どもたちの出会いの機会をくださったパブリックリソース財団とプロジェクト希望の『感動体験支援基金』の皆様に、この場をお借りして心よりお礼申し上げます。 

 

写真:14枚目 NPO法人芸術家と子どもたち、513枚目 金子愛帆

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

Post Navigation