4月末の週末。ワークデーでもないのに、メンバーとスタッフが集まって、今年度の企画・運営についてのミーティングが開かれました。そのときに誰かが言った「サマータイムをしよう」という一言から、グリグリ10年目にして始めて朝10時から畑仕事をするという画期的な試みが始まりました。
初日の今日、どのくらい来るかなー?と内心ドキドキしながら出勤したスタッフの心配をよそに、10時前にスタッフが到着したときにはすでに水やりをしている親子がおり、10時にはぞくぞくとメンバーが集まって来るではありませんか。水やりと草取りをして11時(コアタイム)まで待とうと話していたのですが、もう本メニューに入ってもいいんじゃないかと思うくらいの人数が畑で思い思いに作業をしていました。その甲斐あって、日差しも風もさわやかなうちにちょっとした畑の手入れは済ませることができました。
さて、この日のメニューは次の通り。
ジャガイモの芽かき
トマトの芽かきと支柱たて
ラベンダーとローズマリーの植えつけ
クローバーの種まき
ボサボサになったコニファーの剪定
今年からスタッフになってくれた元農業高校教師Mさんは、栽培の仕方を教えるのが得意なので、芽かきや支柱たてのレクチャーをしてもらいました。「ここに生えてくる芽はとっちゃいます」「元気な芽を残して弱弱しいのは抜きます」といった手入れの説明から、「トマトの根っこは強いので多少切っちゃってもすぐに戻ります」とか「花のすぐ下の目は伸びやすい」といった豆知識まで、豊富な知識を伝授してくれました。目の前の苗の状態を見ながらのレクチャーはとてもわかりやすく、メンバーも質問しながら真剣に耳を傾けていました。これまでも、こうした栽培方法についてアーティストのカブさん(現在留学中)がレクチャーしてくれる機会は度々あったのですが、今年は「直売所を開きたい!」という大きな目標があるので、みんなの目つきも真剣そのもの。色々と教わるうちに、去年のトマト不作の反省点が浮き彫りになり、「あぁ、なるほど~」「そっかぁ~」とため息がもれる場面もありました。レクチャーの様子は映像として残し、いつでもメンバーが見れるようにしておく予定です。
午前中の作業がはかどったおかげで、盛りだくさんだったメニューは順調にこなすことができ、思いがけず堆肥ボックスの天地返しをやってみることとなりました。実はこの堆肥ボックスは以前、アーティストの水内貴英さんのワークショップで創作した畳一畳ほどの大きなもの。それから約2年間、ひたすら剪定した草や枝を積み重ねてきたため“干草置き場”のようになっていました。力持ちのパパさんたちが溜まった“干草”を掘り返してみると、下層部はかなり堆肥化が進んでおり、虫がうようよ。大きなミミズもいました。“干草”も長年かけて堆肥となり、フカフカのベッドを虫たちに提供していたのですね。メンバーの方たちは、水内さんの楽しいワークショップの話をしながら、「ほんとに虫マンションだー!」と楽しげに作業していました。新メンバーや体験で来られていた方なども、その話を聞きながら「楽しそうですね~」とニコニコ顔。
グリグリは、季節や年度によってメンバーの参加が増減し、植物の成長が早い時も、緩やかな時もあって 「いつもこう」 という状態がありません。それは、ともすると新しく加わったメンバーにとっては居心地を確かめるのに時間を要することになるのかもしれませんが、畑にたくさんのアートがあると、自然と話題が生まれ、人々が笑顔になれるものです。10年間の活動で生まれたたくさんの畑のアートには、一つ一つストーリーがあり、それをメンバーさんが伝えていってくれる、まさにアートによって人がつながれている畑なのだということを、しみじみと実感するワークデーでした。